キックフリップを行う方法についての詳細な手順
SRTの登攀方法いろいろ: ランバージャック!!
一言に「SRT登攀」と言ってもいろいろな種類があります。今回は簡単にいくつか紹介したいと思います。(ちなみにSRT登攀はちとアドバンスな内容ですし、DdRTとは別種のテクニックです。安易にマネをするとかなーりヤバイですぜ!)
【フロッグシステム】
私が普段SRT登攀って言っているのはこれの事です。ロープアクセス業界も基本的にこの方法で登攀しているはず。
使用機材は…ハンドアッセンダー、フットループ、ダイナミックロープ製ランヤード、チェストアッセンダー、チェストハーネス。あとハーネス。できればセンターD環のあるタイプ。
やり方はこんな感じ。
この動画ではランヤードにペツルのスペルジカを使っていますね。これでもOKですが、自作ダイナミックロープ製の方が安全らしいです。あと1:58~あたりにヨーヨーシステムの説明もあります。
で、フロッグシステム。フットループに両足を突っ込んで登攀する姿がカエルに良く似ているところからきています。でも私は片足しか突っ込みません。両足の方がラクなんですが、足の身動きが不自由になるので苦手です。フットアッセンダーを使わない場合は右足、使う場合は左足をループに突っ込んでいます。
フットアッセンダーを使う場合、足を交互にあげてまるで歩くように登攀している動画が多いのですが、あれはしんどいし怖いです。私は両足を揃える(カエルみたいに)事を意識して登攀しています。
私はこの方法が非常に好きです。登攀はラクチンだしスピードもあります。ちょっと練習するだけで、熟練したダブルロープのフットロック登攀に次ぐ速度を叩き出せるはずです。それにチェストアッセンダーにぶら下がって休憩できます。スラックはほとんど発生しません。グレイトです。
問題はトゥース式ロープクランプを使用している事。あいつらのロープを食い破る能力をナメている方にはこの方法は使えないでしょう。さらにレスキュー方法がややこしいです。DdRT時と同じ方法は使えません。すぐにレスキューできるように、アンカーにSTOP等を仕込んでおくのもナイスでしょう。
登攀システムから下降システムへの変更にテクニックがいります。知ったら簡単なんですが、知らなかったら死の危険がせまります。
あとはやはりハーネスですね。ブリッジもセンターD環もあるハーネスは少ないです。標準で付属しているのは「セコイアSRT」と「ツリーフレックス」くらいでしょうか。オプションも含めるともうすこし種類が増えますが。
ちなみにフロートD環がいらないなら選びたい放題です。産業用ワークハーネスならどれでもこいってな感じです(そもそもセンターD環がないハーネスってのがマイノリティ)。
(センターD環がなくても一応何とかなります。こちらのリンクからRupeさんのシステムの写真をみてください。ポイントはゴムバンド。私も実際にやってみましたが案外イイ感じです。でも何か問題があるような…ないような? ちなみにこのシステムでいくならば登攀後にチェストアッセンダーを取り外す必要があります。この点、セコイアSRT等であれば常設が可能。)
【テキサスシステム】
名前からも推測できますが、アメリカのケイバーがやっていた手法…らしいです。
使用機材はハンドアッセンダー、フットループ、ダイナミックロープ製ランヤード×2、PPEとして使用できるアッセンダー(普通はハンドアッセンダー)×2、ハーネス(これはセンターD環がなくてもOK)。
やり方はこんな感じ。
ええースリングなの?!しかもガースヒッチ??何故なんだ!しかもおねえちゃんがかわいいじゃないか!
私はやった事ありません。噂によるとめちゃめちゃ疲れるらしいです。動画を見てもらったらわかるんですが、足でキックすると同時にビレイ用のハンドアッセンダーをあげてるでしょ。あのムーブがしんどそう。しかも休憩中のビレイはスリングを介しているので、ぶらぶらして疲れそう(こうやって考えるとチェストアッセンダーは偉大だなぁ)。
でも良く考えたらDdRTでも同じような動作しますよね。私はあれが大っ嫌いなんですが、あれに慣れている方ならテキサスシステムも採用候補になるのかな?ハーネスを選ばないでしょうし。
欠点はハーネス問題以外、フロッグシステムとほぼ同じです。トゥース式カムクランプは想像以上にじゃじゃ馬なので神経を使います。下降器への変更もフロッグよりややこしそう。
まあこれをするくらいならヨーヨーの方がマシじゃないかなと思っています。でも一度くらい挑戦してみたいですね。案外いいかもしれないし。
【チェストローラーを使用したシステム】
いやー実はよく知らないんですよね(汗)。ミッチェルシステムとロープウォーカーシステムがあるらしいです。こちらのリンク先記事を参照してください。
まあ要はチェストローラーを使用する方法です。そしてローラーがなにをやってんだかよくわかっていません。
やり方はこんな感じ。
…しんどそうに登ってますねー。もっとラクなはずです。これフットループの調節ができていないような。やり方が果たしてこれで合っているのかどうかは知りません。間違いなくユニセンダーは必須ではないです。ちなみに私はこのおっちゃんを以前からあまり信用していません(笑)。
問題は「チェストローラーつけたまま仕事するの?」という事。絶対邪魔でしょう。たとえ解除したってこんなデカイもん結局は鬱陶しいはずです。
【ヨーヨーシステム】
ヨーヨーシステム。またの名をRADS(Rope Ascending Descending System)。
使用機材は…ディセンダー(RIGとかグリグリとか)、ハンドアッセンダー、ハンドアッセンダー用ランヤード(別にダイナミックじゃなくてもOK)、フットループ、マイクロプーリー。
やり方はこんな感じ。他にもフロッグシステム動画の1:58~を見てください。
ヨーヨーはともかく、フロッグシステムの方はあまり参考にしないでください。何だか訳がわかりません。チェストアッセンダーは一体どこからきているんだ?あの細いロープで繋がっている?
あれ…この人…なんか知ってるぞ。あ、FootShotのひとか!(詳しくはカトさんのブログとむらっぴさんのブログをどうぞ。カトさんがコメントにて教えてくださったflickerに、この方のフロッグシステムの詳細写真があります。)
問題として結構疲れます。DdRTと同じく登攀距離は2倍になります。しかも一回の登攀距離が稼げません。いっそフットアッセンダーを使ったDdRTで登るほうが気楽なのでは?と思うんですが、どうなんでしょう。でもフットアッセンダーが嫌いな方にはこっちのほうがいいでしょうね。
利点は、登攀してから下降する時にギアを交換しなくて済むことですね。これは凄くいいことです。地上にいつでも気軽に戻れるってのは安心です。
あと登攀中もスラックができないこともナイス。いつでも休憩できます。これもDdRTよりアドバンテージがあります。気軽にSRT登攀したいならこのシステムでしょうね。私も下降器使用中のちょい登りによく使います。
【ヨーヨーの使用機材:補足】
使用機材の捕捉をします。これに使用するディセンダーはRIGが一番だと思います。アンスロンのローリーもいいんですが、個人的にはRIG一押しです。グリグリは下降時にがっこんがっこんするので今更わざわざ買うもんじゃないでしょう。STOPは抵抗が大きいのでイマイチです。アンスロンのDSD(ダブル・ストップ・ディッセンダー)は構造上不可能です。
個人的な印象を図にするとこんな感じ。
RIG>>>ローリー>>>>>>>>グリグリ>>>STOP
あと何故このシステムのみランヤードがダイナミックロープじゃなくてもいいのか。下降器がセルフビレイしてくれているからです。下降器はトゥース式じゃないので「セルフビレイ二点取り」の原則から解放される訳です。
むしろランヤードもいらないくらいですよ。ハンド回収と落下防止用、下降器から勝手にロープが流れた時のストップ役くらいのもんです。下降器を誤作動させて思いっきりスピードがついたらやばいかもですが。もし下降器の取り扱いに慣れていないならダイナミックロープを推奨します。
【まとめ】
基本的に「機能的なフロッグ」か「シンプルなヨーヨー」でしょう。テキサスもハーネスを選ばない点を評価すれば素敵です。
今後このブログでは特に言及のない限り、SRT登攀といえばフロッグシステム、もしくはSRT登攀方法全般をさしていきます。これがいいたい為だけの記事でした。
あと使用機材にカラビナは書いていません。フットアッセンダーもPPE(個人保護器具)じゃないのでわざわざ書いていません。でもフロッグシステムにフットアッセンダーは鬼に金棒です。
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